越境学習とは、普段勤務している会社や職場を離れ、まったく異なる環境で働く体験を通じて、新たな視点を得る学びのことです。他社留学、社外留学とも呼ばれます。JMAHDグループでは、越境学習を通じて普段気付かない自分の特徴や強みを発見し、今後のキャリアを考えるきっかけを提供しています。また、本プログラムで得た学びを社内に持ち帰ることで、新しいアイデアの創出や組織変革を促しています。
コロナ以降の働き方改革や政府の施策を受け、JMAホールディングスグループ5社でも副業制度を導入しています。グループ間副業の取組推進は、JMAホールディングス内で副業案件を公開し、参画を促す取組みです。この取組みは、副業を始めたいが方法がわからない、適切な案件が見つからない、知らない組織との仕事に不安があるといったよくある悩みを解消し、個人にはスキル取得やキャリアアップの機会を、企業には将来的なイノベーションの創出をもたらすことを期待しています。
JMAホールディングスグループでは、キャリア形成の一環として、グループ内での異動を希望する場合、本人の同意とグループ間の合意を得た上で、その転職にチャレンジすることができます。本人から希望があれば、受入れ企業で複数回の面談を実施し、双方のマッチングを図ります。その後、合意が得られ次第、正式な手続きを進めます。入社後のギャップを軽減し、安心して異動できるように支援しています。 また、グループ企業間の理解を深めるため、グループ横断のプロジェクトや委員会を設置し、社員間の交流機会を提供しています。本ホームページでは、グループ各社の事業内容や仕事内容を公開し、情報提供を行っています。
JMAHDグループの最大の強みは、各分野のプロフェッショナルが専門性を発揮しながら活躍している点です。今後は、その専門性をグループ間で共有し、さらなるシナジーを生み出していきます。このグループ間の人材連携は、どのように始まり、どのように活用されているのでしょうか?また、この取り組みを通じて、グループが今後どのように成長していくのか――その展望について、プロジェクトを推進している鈴木さんと坂倉さんにお話を伺いました。
JMAホールディングス 代表取締役社長 鈴木 亨(写真左)
ジェーエムエーシステムズ 代表取締役社長 坂倉 猛(写真右)
鈴木
そうですね、グループの各社が採用活動に取り組む中で、より多くの求職者にJMAHDグループで働く魅力を伝え、入社後も長く活躍してもらうため、新しい取り組みを模索していました。そこで、グループ間で人材が行き来することで、スキルを伸ばし、活かしながらキャリアの可能性を広げるというアイデアが生まれたんです。新入社員も既存社員も、それぞれのスキルを最大限に発揮できる環境を整えたいという思いがあります。
坂倉
鈴木さんがおっしゃる通り、グループ内の事業は異なるものの、意外と共通点が多いんです。例えば、システム開発に従事していた社員がコンサルタントへのキャリアチェンジを望んで退職することがしばしばありました。そこで、グループ内でコンサルティングに挑戦できる道を提供できれば、社員の成長を促し、採用活動にも良い影響が出るのではと考えました。その結果、ホールディングスとしての採用ページを設け、社員がキャリアを横断的に活用できる環境を整えました。
坂倉
JMAS(株式会社ジェーエムエーシステムズ)では、特にシステム開発の場で「集団天才」という言葉が象徴的です。1人1人がプロフェッショナルとして自分の得意分野で活躍していますが、それだけでは完璧なシステムは作れません。10人で1つのシステムを作る際、それぞれの得意分野を活かしながらも、協力して成果を上げる必要があります。また、JMAHDグループには「さん付け文化」が根付いており、先輩が後輩を尊重する姿勢が徹底しています。これも、集団でお互いをプロとして認め合う文化の表れです。新入社員もこの風土に魅力を感じて入社することが多いですね。
鈴木
坂倉さんの話に通じますが、JMAC(株式会社 日本能率協会コンサルティング)でも「集団天才」は重要な考え方です。コンサルティングは個人の名前で勝負することが多いですが、それだけでは限界があります。1人で全ての専門知識をカバーするのは難しいため、集団で議論し、お互いを磨き合うことが大切です。私たちには「技術議論」という場があり、若手もベテランも関係なく、同じ土俵で真剣に議論します。このような文化がグループ全体に根付いていて、各々の成長を支え、グループ全体の力を高めています。1942年の設立当初から、この「集団天才」の精神は脈々と受け継がれていると思います。
坂倉
ワーケーションには3回ほど参加していますが、とても良い手応えを感じています。特に他のグループのメンバーと直接話す機会が増え、戻ってからも「こんなことをやってみよう」といった積極的な提案が生まれています。参加者たちも非常に満足しており、回を重ねるごとにさらに面白い展開が期待できると思います。まだ形になっていないものもありますが、生成AIの研究会や法人間の留学制度の提案など、新しいアイデアがどんどん出てきています。若手が中心となってグループ全体の連携を強化している実感があります。
鈴木
私もワーケーションを通じて、グループ間の結びつきが強まっていると感じています。最初は少しぎこちなかったものの、最後には旧知の友人のように打ち解け、帰社後も連携を続けるような状況が生まれています。この点で、狙い通りの成果が出ていると言えます。今年は中堅層と若手をターゲットに年に2回実施していますが、今後もこのペースで継続したいですね。ワーケーションを通じて、グループ全体の総合力がさらに引き出されることを期待しています。
坂倉
副業や転職に関して、制度を固めすぎると参加のハードルが上がるため、意図的にプロジェクトベースで進めて、他社との連携を容易にする手段として活用しています。例えば、他の会社の仕事を少し手伝ってみるのは非常に良い経験です。最近、JMASの副業制度が緩和され、参画がしやすくなってきており、いろんな挑戦が可能になっています。この機会を活かして、やりたいことがあれば積極的に手を挙げてほしいですね。自分のスキルを広げるチャンスとして活用してもらいたいです。
鈴木
坂倉さんがおっしゃる通り、プロジェクト単位で他法人の仕事に関わることや「これをやってみたい」と積極的に手を挙げることが重要だと思います。この取り組みを通じて、グループ内で新しいことに挑戦する文化を広めていきたいですね。まずは小さく始めて、経験を積み重ねていってほしいです。この取り組みが、社員自身の成長に役立つことを期待しています。